「Windows10から11へ」
これを機にエンドポイント管理ツールで見直すべきこと4選
「最後のバージョン」と信じてやっとの思いでWindows10へ移行したのもまだ記憶に新しい中、2021年10月にWindows11がリリースされ、もうすぐ2年が経過しようとしています。
一方でWindows11へ移行されたお客様は10%程度というデータもあり、実際お客様から「これから検討」「検証中」との声を多くいただきます。
現行22H2がWindows10の最終バージョンになると言われており、そのサポート終了日が2025年10月14日ですから、そろそろ本腰を入れて情報収集を始めようというご担当者様も多いのではないでしょうか。
Windows11はWindows10と同じコアアーキテクチャーに基づいているため、アプリケーションの改修工数などはWindows10への移行時と比べると低いと言われています。
その少し余力がある状況の時に、OSが変わることを機にエンドポイント管理の観点でぜひ検討いただきたいことがあります。
日常運用もありますし、従業員(ユーザー)の方からの反応を考えると何かキッカケがないと変えにくいことは少なくありません。
今回は情報システム部門の運用改善とユーザーの負担軽減という観点で4選にまとめました。この中で何か一つでも取り入れていただくヒントになればと思います。
各PCへの管理者権限付与の廃止
あるべき論でいえば管理者権限は回収できたほうが良いのはわかっているものの、取引先との業務の兼合いや、特に開発部門がある企業では業務の利便性を損なわないために
管理者権限を付与されているケースも少なくないでしょう。
その恩恵の大半はソフトウェアのインストールが自由にできることではないでしょうか。数百名以上の企業であれば、何かしらエージェント型のエンドポイント管理の仕組みを導入していると思いますが、
管理者権限がなくても自由にソフトウェアをインストールできる環境を作れるエンドポイント管理ツールもあります。
仕組みはシンプルで、端末ごとにソフトウェアのポータルが作成され、会社が許可したソフトウェアを自由に掲載でき、ユーザーは任意のタイミングでソフトウェアを選択してインストールが
できるというものです。この仕組みであれば、通常は管理ツールの権限を使ってインストールさせられるので端末側の管理者権限は必要ありません。
エージェントベースで許可されたソフトウェアをコントロールできるので、「特定の部署にはこのソフトウェア」のようにグルーピングした上で掲載することもできるはずです。
OS移行時や端末リプレイス時はエンドポイント管理ツールを見直すタイミングでもありますから、このような機能があるか検討の軸に入れてもいいでしょう。
ライセンスコストの見直し
OS移行時や端末リプレイス時はエンドポイント管理ツールを見直すタイミングと言いましたが、ここでもう一つ取り入れていただきたいのが「ライセンスメータリング」です。
PC調達時は何社も相見積で比較して少しでも性能が良く安価なものを選んでいるのにも関わらず、ライセンスは毎年数%ずつ無条件に買い増しているという企業様を何社も見たことがあります。
ライセンスメータリングとは、そのソフトウェアの利用時間や最終利用履歴を計測し、その結果から不要であれば回収し新たに使いたい方に割当てる、いうなればライセンスのリユースを支援する機能です。
ライセンスは会社として調達量も多いですし、近年ライセンス価格自体も上がっています。
ユーザーは自身が希望せずPC配布時からインストールしているソフトウェアについてはコストが掛かっていることすら希薄になっているかもしれません。
回収してライセンスの割掛けコストが削減されれば、ユーザー部門にとってもメリットがあります。
ライセンスメータリングの活用は取り掛かりやすく、効果が出やすいのでおすすめです。
マスターイメージ数の削減
マスターイメージを数十の単位で管理されているケースを見かけます。マスターイメージの数が多いと改修や検証にかかる工数、キッティング業者への委託コストが膨らみやすく
メンテナンスすべき課題の一つと言えます。用途やインストールアプリの種類、初期設定の有無などを考慮して部署別あるいはプロジェクト毎にマスターイメージを作成されているかと思います。
取り入れていただきたい発想は、マスターイメージは必要最低限の設定や必須アプリケーションのみとして数を削減し、必要な設定や個別のアプリケーションは後から一括で配信し適用するというものです。
当然ネットワークに負荷をかけず配信ができるか、配布物や設定がその端末の状態に応じてドミノ倒し的に配信ができるかといった配信機能に依存するところが大きいです。
単純にMicrosoftのアップデートを実施するために配信機能を検討するだけではなく、マスターイメージ数の削減のような副次的な効果も意識して検討することがポイントです。
近年、テレワークも普及し自宅に端末が郵送され、利用者が専門的な知識を要せず面倒な設定などをネットワーク越しに自動でおこなうゼロタッチも活用され始めています。
プロビジョニング領域は今後も要注目と言えるでしょう。
問合せの津波に対応する仕組みを整える
ユーザーからの問合せのケアは大変重要な観点です。ITサポートを担う読者の方であればご経験がおありかと思いますが、OSを移行すると大量の問合せがきます。
電話受付を認めている会社であればその対応だけで時間を拘束され、本来の業務に支障が出ていると思います。
ポイントは「問合せのシングルポイント化」「配信の自動化」「ナレッジの強化」「リモートサポートのしやすさ」の4つです。
「問合せのシングルポイント化」はIT部門の窓口を一つにし、そこでできることをメニューとして明示しておくことが重要です。まずユーザーはどこに問合せたらよいかを聞いてくることが多く、
フラストレーションが溜まった状態の応対だけで疲弊します。従業員の満足度という意味でも問合せ先とやれることは明確にしておくといいでしょう。
次に「配信の自動化」ですが、これは必須アプリのような決まったものはユーザーが意識しなくてもインストールできる仕組みを作るということです。
今回は一業務である配信を例にしましたが、要はユーザーからするとまとめてIT部門ができることは勝手にやってほしいということです。
条件を設定して合致する端末に自動的にソフトがインストールされれば、IT部門、ユーザー双方の負担も問合せも削減できるでしょう。
そもそもの問合せ数を削減するためにナレッジを蓄積することも大切です。ナレッジの検索がしやすい、ナレッジを確認してなければ問合せを受けるようなフローも取り入れるべきでしょう。
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