データで改善するヘルプデスク
分野:ITSM
テーマ:レポート/ダッシュボード
ITサービス管理ツールを利用すると、インシデントを記録し、その対応状況を管理することができます。
しかし、その利用用途だけではもったいない!蓄積された情報を有効に活用することで、ヘルプデスク業務を効果的に改善することができるのです。
全4回シリーズでデータの活用方法をお伝えします。今回は第2回です。
第1弾2回目:「週次」でヘルプデスクチームで共有するべきデータ
ヘルプデスクチームで週次のミーティングを実施されてらっしゃる会社も多いと思います。
その週次ミーティングは単なるタスクの共有や連絡事項だけの一方通行なコミュニケーションで終わっていませんか。
週次ミーティングでは一週間起こった内容を様々な観点から分析し、メンバー同士が議論することで、その翌週に備えることができます。 つまりみんなで話し合うのに価値のあるデータをミーティングで共有してこそ意味があるのです。この一週間どうだったかがわかる「動向」をメンバーに見せるということです。
具体的に見ていきましょう。
①日次のインシデント数を共有する
突出してインシデントが多い日はなぜ多かったかを考えることは重要です。
月末だったから、新システムがリリースされたから、WindowsOSのアップデートがあったからなど、理由は様々かと思います。ここで「ヘルプデスクの稼働に影響のある要因」を検討することは重要です。
こうした兆候をつかむことは、システム全体のスケジュールを立てる際にも有効なデータとなります。感覚や経験に依存せずにファクトベースで議論をすることもできます。
また、インシデントが突発的に多かった日の対応で問題がなかったかなどを検証するのも週次ミーティングで話し合われるべきトピックと言えます。
ヘルプデスク全体として正しいプライオリティで業務が遂行できていたかなどを振り返ることで高負荷な状況時の業務運営が改善されるはずです。
こういった状況こそチームとしての真価が問われるので、意識してレビューしていかなければなりません。
②メンバーが抱えるインシデントの状況を共有する
メンバーが抱えるインシデントの状況をチームで共有することは重要です。インシデント対応状況を可視化して話し合うことで互いの忙しさを知ることができます。 メンバーの業務状況を把握しておくことは、テレワーク下においてはますます重要性が高まっているともいわれています。離れた環境で忙しさが伝わりにくい状況下で、互助の促すことにも繋がります。
③サービス別にその週に起こったインシデントを分析すること
インシデントをサービス別に「週次」で確認する意味は、状況に応じた打ち手をタイムリーに打つことができるからです。
① ユーザに周知させる
② ナレッジとして登録しておく
③ システム担当者に改善を依頼する
といった対応は、早ければ早いほど効果があります。
月次で情報を判断するのでは遅すぎるのです。
まず特定のサービスにインシデントが偏っているかをみて、それぞれのサービスに関する問い合わせ件数や高優先度の件数を確認します。
例えば、発生するとインパクトが大きな問題でも、ユーザが簡易な対応で防止できるならば、ポータル等で周知するべきです。
問い合わせ件数が多い問題であれば、ナレッジ化することでヘルプデスクの負荷を軽減するだけでなく、ユーザーの利便性も損なわずにすみます。
システムやサービスの品質に起因する問題などは、エスカレーション先となるシステム担当者に改善要望をするべきです。
このようにデータを見て「自分たちが今できること」を考えることに意味があるのです。
④優先度別にインシデントをモニタリング
その週発生したインシデントを優先度別に見ることも有効です。来週も忙しさが続くのかをチームで議論し、対策やタスクのプライオリティを検討することができるようになります。 可能であれば、優先度が高いインシデントを持っているメンバーが偏っていないかを合わせて確認することで、チームが対応するべきアクションが見えてくるでしょう。 そのインシデントを特定のメンバーのみで対応していないかを確認することで、早期にそうした状況から脱却することができます。
データはマネージャだけが見て判断するものではありません。共有してメンバーに「考えてもらうきっかけ」でもあるのです。
お互いが助け合い、プロアクティブに対応できるチームを作るために、週次で状況を共有し合い、議論することからはじめてみてください。効果はすぐに実感できるでしょう!
前回の記事はこちら!
第1回:日次でヘルプデスクリーダが読むべきデータ
次回予告
第1弾3回目:「月次」でマネージャが振り返るデータ
第1弾4回目:「年次」で見るヘルプデスクの通知表