ヘルプデスクに蓄積するナレッジの活用
分野:ITSM
テーマ:ナレッジ/チャットボット
ナレッジの活用をテーマにお届けしたシリーズメルマガ第二弾のいよいよ最終回(4回目)となります。
今回は「社内システム利用に関するナレッジを活用する組織」をテーマにしたいと思います。
全3回でナレッジの重要性をご説明してきました。ヘルプデスク業務を効率化し、ユーザの利便性を高める切り札として、社内に蓄積したナレッジの活用は避けては通れない課題です。
「社内にFAQを掲載しても、利用者が見てくれない」「そもそも参照するナレッジが蓄積されていないので、個別に対応するしかない」と諦めているヘルプデスクチームも多いかと思います。
そこで、ナレッジが活用されるようになる「戦略」をご紹介したいと思います。
ポイント①:ヘルプデスクチーム内でビジョンを共有する
ヘルプデスク業務は過酷です。感情的なクレームへの対処だけでなく、課題解決のタイムプレッシャーも高く、ストレスフルになりがちです。 どういうチームになっていくかという目標やビジョンは、そうした状況を乗り越えていくために重要と言えます。ナレッジがうまく形成され活用されれば、状況は間違いなく改善されます。
究極的には利用者が問い合わせをしなくても良いシステムを提供することが利便性の観点でも経済性の観点でも理想と言えます。
つまりナレッジによる運営はヘルプデスク業務における到達点と言い換えることができます。
是非チーム内で、高い目標を共有し、そこに向けた調整に取り組んでいただきたいと思います。
ポイント②:ナレッジを作り公開する取組みからはじめる
公開するナレッジを過去作ってこなかったことを理由に、取り組みを諦めるのはナンセンスです。
千里の道も一歩からです。今日、共有するべきと考えられるナレッジをFAQにするところから始めるのでも良いのです。
継続的に有効なナレッジが形成されない理由はナレッジの作成が定性的に又は定量的に評価されないことが最も大きな要因です。
ヘルプデスクの重要指標であるナレッジに関する評価が確立していないのではメンバー個々の自主性に依存するものになってしまいます。
まずナレッジの形成を定量的に測定する仕組みを導入してください。そしてKPIを設け達成目標を明確にすることを勧めします。
またナレッジが参考になったかどうかを利用者から計測することができれば単にナレッジを量産することだけを考えず利用されるナレッジが形成されていくことでしょう。
計測する仕組みが基盤としては必須と言えます。
ポイント③:経営陣の理解を得る
ヘルプデスクは利用者と情報システムを繋ぐ扇のかなめです。ここに問題があると利用者はシステムを十分活用しきれないばかりか、業務影響のリスクも発生してしまいます。
そもそもヘルプデスクチームは、利用者からの回答ばかりに対応していれば良いのではなく、利便性向上やエスカレーション先にしっかりと提言を行うなど「カイゼン」を
しっかりと行わなければならないチームでもあります。
ヘルプデスクの稼働状況とナレッジを利用者に参照してもらうことで得られる効果予測を、経営陣に説明してみてください。 DXが推進されれば、ヘルプデスクの稼働は高まる可能性は大きく、そうした議論がトップダウンで理解される状況を作ってください。
ポイント④:利用者が自分で調べるカルチャを形成する
次に利用者が自分で調べるカルチャをどう形成するかです。調べもせずに情報システムに問い合わせるのは全社リソースの無駄遣いと言わざるを得ません。
そうした利用者を一人でも減らしていくことがナレッジを利用させるための近道と言えます。
月にどれぐらいの件数が調べられずに問い合わせられるかを事業部門別に集計したらどうでしょう。
利用者からは横着をして質問すれば組織全体で集計されることを知り問い合わせ前に確認することでしょう。
前項で経営陣の理解はこの問題を会社として真摯にとらえていくために必要なステップというわけです。
一方で利用者がナレッジのわかりやすさや検索に不満を持っていると調べなくなってしまいます。
前回テーマに記載をさせて頂いておりますがナレッジが適切な書き方で公開され、検索できるかを再度確認してみてください。
またナレッジに回答があって質問がくるケースはナレッジのリンクを紹介してください。
このようなケースではここを見たらいいんだということを利用者に伝える良いきっかけとなります。
まとめ
ナレッジを活用し、ヘルプデスク業務を効率化するには、目標の共有、ナレッジ形成/活用に関する測定、組織の理解、調べるカルチャが必要であるとお伝えしました。
この課題に取り組む際に、「役立つナレッジを見繕って公開すればよい」と短絡的に考えることが最も問題です。
「見るか見ないかは利用者次第」という立場から、「どうしたら活用されるか」と考えるスタンスに変わっていかなければなりません。 冒頭、「戦略」とお伝えしたのは、そうしたストラテジックな思考がこの課題には求められるからなのです。
以上が「社内システム利用に関するナレッジを活用する組織」になります。
次回は仕切直して第三弾がスタートします。乞うご期待ください!
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